今週は東洋医学的にみた不妊症のタイプの一つ「痰湿」について話したいと思います。
まず書き始めに強調したい事があります。東洋医学の鍼灸や漢方で不妊治療を受けるとしても産婦人科を通う事は必ずあります。(鍼灸院で出産する事ができないからです。)
痰湿は先週のブログのとおり、梅雨の間よく現れる症状です。しかし、現代ではエアコンという素晴らしい発明があり、さらにチョコレートやケーキなどの甘い食べ物を簡易に摂る事ができます。「冷」+「甘」の影響で体内に余分な湿が現れやすくなります。
一番分かりやすい「痰湿」の症状としては以下のようなものがあります。
①浮腫(特に下肢)
②肥満・水太り
③おりものが多い
④舌の苔が白くて厚い
⑤食欲不振、悪心嘔吐
⑥痰や鼻水など(肺・腎の機能低下の影響)
痰湿タイプの不妊治療は男女によってかなり違います。
女性は東洋医学の脾腎機能の低下で子宮に痰湿がたまると排卵と精子運動や着床の阻害になります。西洋医学の用語なら多嚢胞卵巣症候群・卵巣嚢腫などの症状が現れます。
なので治療方針では「温補脾腎,去湿化痰養血」(エネルギーを補充し、体内にある余分な水分をとり、血液循環をよくする)
よく使われる生薬は香附、陳皮、茯苓、半夏、車前子、川芎などがあります。主に湿を取り、胃腸機能をアップする生薬であります。身近な食材で言えば紫蘇も湿を発散する機能があります。(日本で比較的に入手できる漢方でいったら香蘇散という薬があります。よく喉の痰湿証で使われています。妊娠中の風邪も証が合えば使えます。)
鍼灸では東洋診断した上で三陰交、豊隆、中極、四満や気衝というツボをよく使います。また、腹部のお灸(棒灸)もとても効果的です。
男性も湿熱の影響で精管詰まりや精子不活動の現象がよくみられます。中医では竜胆瀉肝湯で溼熱を、温胆湯で痰濁をとります。また、男性の湿熱では補薬のとりやめと通気性の良いズボンにする事で改善する事がよく見られます。
最後、不妊治療は奥さん一人の責任ではありません。りん鍼灸按摩院はご夫婦ふたり同時に治療する事を勧めるため、割引料金を設定しています。よかったら旦那さんに「吸玉ってめっちゃ気持ちいい」と言って一緒に連れてきてください。