冷えのぼせ

最近、健康維持のために来院したお客様の服装はコートとマフラーの2点セットが増えました。おそらく朝晩の気温低下で外出時は風邪を引かないように暖かい格好で体調管理に努めておられます。しかし…

ほとんどの場合、私は脈診からはじめます。問診から得た情報の影響を避けるためです。上記のお客様の共通点は脈が浮いて、そして力が強いです。

→熱邪の影響であることが多いです。

脈診した後、マスクを少しの間外してもらって、舌診や顔色を観察します。舌は乾燥で裂紋があり、色はほとんど赤いですが、数人は赤紫色をしています。そして、顔も赤いです。

→内熱があり、陰分(水分)が飛ばされました。

念のため血圧と体温を測ります。みなさん、熱はないものの、血圧は高いです。

手足を確認すると、手は暖かいですが、足は冷たいです。

問診してみると、風邪気味と答える人が多いです。具体的な症状は喉が乾燥で痒い感じがするとの事です。また、皮膚がかゆくなることもあります。

以上を要約すると陰虚内熱な体質です。

鍼灸では太淵、太白、太渓、三陰交、曲池、腎兪、脾兪、中渚、合谷、足三里、血海に鍼を打ったり、お灸を据えます。

漢方は当帰飲子湯加減、桂枝茯苓丸加減などの内服が効果的です。

一番重要なのは、朝晩は寒いですが昼間の気温は20度を超えるのでコートとマフラーを適切に外す事だけでも十分な効果を得られます。

※上記のツボや漢方は一例ですので、自己判断でお灸をしたり漢方を内服したりは決してなさらず、鍼灸師や中医師などに診てもらってください。

お灸生活

お灸の良さは日本に来てから初めてわかりました。

台湾は暖かい日が多くて、湿度も高いのでお灸は普及していません。

来日してから、せんねん灸の便利さと棒灸の気持ち良さを知ってから、お灸をしない日は少ないです。

風邪を引きそうな時: 大椎、合谷

寝違い: 後渓、手三里

胃痛: 足三里、中脘、内関

蕁麻疹: 血海、曲池

冷え: 太渓、命門、気海

虫刺され: 腫れた部位

筋肉痛 :筋肉の起始、停止と圧痛点

インフルエンザの全身性発熱: 内庭

……など、日常生活によくある症状に簡単に対応できます。

ちなみに、今年我が家で一番良く使っているのは虫刺され灸です。

三歳の次男は今まで蚊に刺されたら、毎回かゆみ止めのアンパンマンパッチを二三日貼ります。しかし、貼っても掻くので毎回大きく腫れます。つい最近、お灸デビューしてからは一回のお灸で一日ぐらいの効果が見られ、腫れもすぐ抑えられます。

本人も「おちゅう(お灸)ちもちいい(気持ちいい)」と言っています。今では恐怖心もなくできています。

しかし、お灸は熱い!お灸したらヤケドになると思っている方はかなり多くいます。

確かに市販のお灸は操作の不注意で簡単にヤケドになりますが、国家資格の鍼灸師は体質に合わせてもぐさの量、燃焼温度と接する面積を調節し、確実な効果を出す事ができます。 また、せんねん灸の種類や使い方、ツボの場所も鍼灸師の専門なので、相談や指導は鍼灸院で受けたほうが安心です。

(ドラックストアでも購入可能ですが、薬剤師や登録販売者は経絡や脈診の知識がなく、お灸もできないので相談は鍼灸師かメーカーさんへ)

まだお灸デビューしてない方はぜひ近くの鍼灸院で体験してみてください。

免疫力向上灸

本日から10月16日まで「免疫力向上灸」を1600円で実施しております。

気温が下がり、空気が乾燥してくると風邪をひきやすい季節になってきます。

風邪(かぜ)は、東洋医学の風邪(ふうじゃ)の由来で、吹く風が運んでくる邪気(じゃき、燥邪、寒邪)が体を守る衛気を消耗し、身体に入る事の影響で、風邪を引くといわれてきました。

これからの季節は冷たく吹く風が体から熱をうばい、又乾燥した風は皮膚や粘膜を乾燥させ免疫力を下げるため風邪をひきやすい状態になるのです。

風邪は万病のもとと言います。コロナ禍の今だからこそ、風邪を引かないようにするために体調管理をしっかりして、免疫力を高めることがなにより大切です。

アーモンド?

アーモンドって何?

普通日本で言ったら「扁桃仁」になります。しかし、台湾は「杏仁」と思われがちです。(最初翻訳した人の間違えで、今でも誤用されています。)

杏仁は北杏、シベリア杏と南杏に分けられています。

南杏は甘いので甘杏とも言います。

台湾のアーモンドミルクやあんにんは南杏で作っています。微毒なので茹でてから使います。

北杏とシベリア杏は苦いので、苦杏とも言われます。

漢方や生薬として使います。毒性があるので、炒めるか茹でる事で毒性が10%以下になりますが、幼児には要注意で、成人服用は56枚までとので文献があります。また、苦いので、生薬粉販売時は南杏を混ぜて販売することが多いです。

肺に潤いを与えて、咳を止め効果があります。ちょうど今の季節でよく使います。また、脂質豊富で便秘を改善する効果もあります。同じ効果のツボといえば、肺経の尺沢と大腸経の曲池は似ているような効果があります。私もよく曲池から尺沢へ向かって鍼を入れます。また、円皮鍼だけでも十分効果を感じます。

桃仁は毒性はないので、デザートなどでよく利用されています。例えば日本のアーモンドチョコとアーモンドミルクなどがあります。

実は生薬として使うこともあります。血液の流れを良くし、瘀血をなくす効果があり、たぽつ打撲や瘀血タイプの生理によく使います。また、便通の改善効果もあります。

以上、長い説明ですが、台湾の杏アーモンドミルクはかなりクセの強い飲み物で、アーモンドミルク好きな日本人は台湾観光時に少量で試し始めてください。

台湾から来た参考書

8/19に台湾の本屋で注文した本がやっと届きました。在庫があれば翌日発送で注文後4日で届きますが、今回は在庫が無いので調達のために10日間かかりました。

注文した本は台湾針灸を代表する「董氏針炙」。最近日本でも有名になってきているので、勉強される先生が増えています。昔、ざっと簡体字版を読んだ事がありましたが、やはり繁体字原版のほうが読みやすくて綺麗です。

もう一度読みたくなった理由は、肘や膝より下しか鍼灸できない利用者様がよくいらっしゃるからです。今までの伝統的な手足のツボ、頭鍼、耳鍼以外もうひとつ手法を増やしたいと思いました。

董氏針炙は手掌、手背、足背をよく使います。そしてほとんど刺す深度も浅く安心です。また、他の部位に関しては古典と同じ理論ですが正経経脈と違う使い方が多くて大変参考になりました。

台湾は小さい島国なので台湾の本は勿論、日本、中国、欧米の本も簡単に購入でき、繁体字翻訳版も充実しています。私がよく使うのは博客來と言うネット本屋で、雑貨もたくさん販売しています。ご興味のある方はぜひ台湾の本屋で検索してみてください。

原因不明の発疹

コロナの影響で宣伝活動はずっと控えていますが、開業してからたくさんの方々に応援してもらって何とかやらせてもらっています。本当にありがとうございます。

この頃、原因不明な発疹をしばしば見ます。病院でアレルギー検査をしても問題ないと言われ、「蕁麻疹」と診断名を付けられてステロイド系軟膏や抗ヒスタミン剤を出される事が多いです。

東洋医学では、このような症状を風熱症と言い、熱い風が身体に入り、血液に乗って全身へ転々と症状が現れます。症状が多様で変化も早いのは風症と言い、発疹や炎症、発熱などは熱症と言うため、合わせて風熱症と言います。

したがって、治療原則は「去風清熱涼血」となります。自己治療でよく使うツボは風池、風門、曲池や血海。熱症なので鍼(円皮鍼)をつかいます。しかし、痒みのある発疹では熱めのお灸(せんねん灸、長生灸などのレギュラー)を血海に使います。また、風熱症で精神不安や食欲不振もよく現れるため、神門や太白などを追加したらよく効きます。

漢方(市販薬)では消風散がメインになります。症状によって板藍根や勺薬(赤)などを0.5gほど追加します。芯のある発疹なら十味敗毒湯や葛根湯なども白虎湯と一緒に使います。また、清熱涼血の食材(スイカなど体を冷やす夏野菜)も効果がありますが、食べ過ぎないように注意が必要です。

最後に、患者さまを待つ時間が多い私は、最近夏休み中の長男と一緒にYouTubeを見ながらウクレレの練習をしています。ウクレレに興味がある方もぜひりん鍼灸按摩院にご来院いただき、一緒に練習してみませんか?